財産管理人・成年後見人
「高齢になった親が、自分のお金の管理ができるか心配」
「家族など相続人がいない場合に、財産をどうするか定めておきたい」
といった財産管理・成年後見人に関するご相談に際して、必要な法的手続きを代行いたします。
将来の不安に備えて、早くから法律のプロである司法書士にご相談ください。
成年後見人を選任する必要性
人はこの世に生を受ければ、いずれは能力が低下していき、最終的に一生を終えることになります。
高齢になり、たとえ認知症等で判断能力が低下したとしても、財産は管理していかなければなりませんし、日常生活においても契約等の法律行為は不可欠です。介護施設に入所する際も、入所契約が必要です。
ところが、判断能力がない(精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況)場合は、財産の管理も困難ですし、契約をするのはさらに困難です。お年寄りが訪問販売に騙されて高額な商品を購入したという事例もあります。
このような場合に法律は「成年後見制度」を設けています。
ご本人の正式な代理人として成年後見人は財産を管理することができます。
当事務所では、成年後見の申立て(家庭裁判所)から、司法書士自身が成年後見人への就任、ご親族が成年後見人に就任された場合のその後のサポート、等々、様々な業務を行っています。
費用
戸籍や住民票取得、印紙・切手代等の実費
その他、裁判所から鑑定料の納付を求められる場合があります。
※上記は裁判所に申立書を提出するときまでにかかる費用です。司法書士が成年後見人に就任した場合は別途管理報酬がかかりますが、管理報酬については家庭裁判所がその額を定めます。
任意後見人について
ご自身が将来的に能力が低下し、財産の管理が困難となる場合に備えて、あらかじめ一定の事務を委託することを契約することができます。
これを任意後見契約といいます。
任意後見契約は、公正証書で作成する必要があります。作成には公証人が関与し公正証書として残りますので、非常に安心感があります。
任意後見契約では、事務の内容はもちろんのこと、後見人の報酬も定めておくことができます。
後見が開始するのは、実際にご本人の判断能力が低下してきた場合で、家庭裁判所に任意後見監督人(任意後見人を監督する人です)の選任の申立てをしてからになります。
当事務所では、任意後見契約の締結に至るまでの過程のサポートをします。また、司法書士自身が任意後見人へ就任することもでき、実際に判断能力が低下した場合の任意後見監督人選任の申立てのお手伝いもしています。
保佐人・補助人について
法律は、後見人の他に、保佐人や補助人の制度を設けています。
後見類型は判断能力の低下が最も著しい状態(精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況)ですが、そこまで能力は低下していないけれども財産の管理が困難な場合もあります。
このような場合は、保佐や補助開始の申立て(家庭裁判所)をすることが考えられます。
保佐人や補助人については、後見人ほど広範囲な権限は与えられません。ご本人がまだ一定の判断能力を有しておられるからです。申立ては事案ごとに検討する必要がありますので、お気軽にご相談ください。
当事務所では、保佐開始又は補助開始の申立てはもちろんのこと、司法書士自身が保佐人又は補助人することもでき、その他様々なサポートを行っています。
不在者財産管理人
不在者がいる場合
相続人の中に行方不明などで不在の方がいらっしゃる場合、遺産分割協議はどのようにするのでしょうか?
この場合、不在者を除外して協議をしても、それは適法な協議ではありません。なぜなら遺産分割協議は必ず相続人全員でしなければ成立しないからです。これは不在者がいる場合でも同様です。
また、不在者の生死が7年間明らかでないときは、失踪宣告という制度もあります(普通失踪)。船舶や飛行機の事故の場合はその危難が去った後1年間生死が明らかでないときも同様です(危難失踪)。
手続きに関して
不在者がいる場合、まず家庭裁判所に不在者財産管理人という人を選任してもらいます。そしてその人が不在者の代わりに遺産分割協議に参加して協議を成立させます。ただし、遺産分割協議は不在者財産管理人の職務の権限を越える行為となりますので、さらに家庭裁判所に対して、権限外行為許可の申立てをします。
失踪宣告の場合は、家庭裁判所に失踪宣告の申立てをします。失踪宣告の審判が確定するとその人は法律上死亡したものとみなされるので、その人は遺産分割協議の当事者から外れることになります。
しかし、「死亡したものとみなされる」とは、もしどこかで生存されていたとしても死亡の事実は確定するので、親族の感情を十分に考慮して申立てをする必要があります(仮に生存されていた場合、失踪宣告の取消しという制度があります)。
なお、失踪宣告により、相続人の範囲が変わることもありますので注意が必要です。
※不在者財産管理人に就任する予定の人がいない場合、当事務所の司法書士が不在者財産管理人に就任することもできます。
費用
戸籍や住民票取得、印紙・切手代等の実費
その他、裁判所から予納金の納付を求められる場合があります。
※上記は裁判所に申立書を提出するときまでにかかる費用です。司法書士が財産管理人に就任した場合は別途管理報酬がかかりますが、管理報酬については家庭裁判所がその額を定めます。
相続財産管理人
相続財産管理人を選任する必要性
相続の手続において、被相続人から見て相続人が存在しない場合があります。
例えば、身寄りがなく本当に相続人が存在しない場合の他に、相続人全員が相続放棄をしたことによる相続人不存在の状況も想定されます。
そのように相続人が存在しない場合でも財産が残り、相続人ではないけれどもこれまで面倒を看てきた人が財産を取得するのが適しているようなこともありますが、何も手続をせずに財産を取得することはできません。
このようなケースでは、家庭裁判所に相続財産管理人の選任申立てを行い、財産管理人からの手続きにより相続財産を取得することができます。なお、最終的に財産を取得する人が存在しない場合は、残余財産は国庫に帰属します。
相続財産管理人の選任の流れは以下のようになります。なお、当事務所の司法書士が相続財産管理人に就任することもできます。
取得されている戸籍や相続放棄申述受理証明書がある場合はご持参ください。
家庭裁判所の相続財産管理人選任の公告後2か月以内に相続人のあることが明らかにならなかったときは、相続財産管理人が一定期間(2か月以上)内にすべての相続債権者及び受遺者に対し、請求の申出をすべき旨を公告します。
届出のあった債権者及び受遺者に対しては相続財産の中から弁済をします。
上記の期間経過後もなお相続人のあることが明らかでないときは、家庭裁判所が6か月以上の期間を定めて相続人があるならば権利を主張すべき旨の公告をします。
さらに上記の期間を経過しても相続人としての権利を主張する者がないときは、被相続人と生計を同じくしていた人、療養看護に努めた人、特別の縁故があった人の請求によって財産がその人たちに分与されます。
上記の手続を経て、最終的に財産が残った場合は、国庫に帰属、つまり国のものになります。
費用
戸籍や住民票取得、印紙・切手代等の実費
その他、裁判所から予納金の納付を求められる場合があります。
※上記は裁判所に申立書を提出するときまでにかかる費用です。司法書士が財産管理人に就任した場合は別途管理報酬がかかりますが、管理報酬については家庭裁判所がその額を定めます。
相続財産管理(整理・承継)業務
相続財産管理(整理・承継)業務とは
相続の手続は、預貯金の解約・名義変更、株式等の名義変更、年金のこと、保険金、不動産の名義変更等、多岐に渡ります。
特に、多数の預金名義や不動産が存在する場合はご本人ですべての手続をされるのは大変なこともあります。(不動産の名義変更は法務局に添付書類とともに登記申請書を作成して提出する必要があるため、特に困難だと思われます。)
当事務所では、これらの手続を包括的に「任意相続財産管理人」として、最終的に相続人に確実に財産が承継されるようお手伝いをしています。
以下、ご依頼される場合の手続の流れをご説明します。
(不動産の相続登記手続は別項目でもご説明しています。)
取得されている戸籍等がある場合はご持参ください。
基本的に申告されたものしか司法書士は把握できませんが、預貯金に関しては少なくとも被相続人の生活拠点の金融機関には照会をかけます。
1. でいただいた方は不要です。
遺産分割に争いが生じる場合は家庭裁判所に遺産分割調停の申立を行うこともあります。
なお、司法書士は取得割合等について当事者間の調整はできません。
預貯金の解約・株式の名義変更等、数種の手続がある場合、金融機関等によって書類の書式が異なり、また、業務処理にかかる時間もすべて異なるため、全部の手続が完了するまで相当の期間がかかる可能性があります。
【Q&A】遺産の取得について相続人の間で揉めています。それでも手続はできますか?
この業務は、最終的に相続財産を相続分の割合(または遺産分割協議の割合)により、各相続人に承継させることを目的としています。
その業務の過程で、相続人間で話し合いがまとまらなかったり、場合によっては相続人間で衝突が起こることも有り得ます。
司法書士は、相続人の一人の代理人として、他の相続人と交渉することはできませんので、争いが起こることが事前に想定されていたり、業務の途中で紛争が現実化した場合は、業務を最後まで遂行することができません。
よって、この場合は家庭裁判所に遺産分割の調停申立(司法書士は裁判所提出書類の作成はできます。)をすることもあります。調停でも話し合いが整わない場合、自動的に裁判所の審判手続に移行し、裁判所が一切の事情を考慮して結論を出すことになります。(調停・審判手続が終わるまで遺産の承継業務は中断しますが、その後、調停・審判で定められた内容に沿って業務を進めていきます。)
基本的にこの業務は、相続人間でお話がまとまることが前提となっています。
業務に入る前に事前に相続人間である程度お話をされておくことをお勧めします。仮に業務の途中で紛争に発展した場合は、基本的に遺産分割調停・審判によって解決を図りますが、そのような手続を希望されない場合はその時点で業務を中止することになります。
結局のところ、この業務は、遺産分割等で決まった相続分の割合に応じて預貯金の解約や不動産登記名義の変更など、手続的なことが中心となります。原則として上記方法により解決が図られない場合は最後まで業務を遂行することができないことになるのでご注意ください。
【Q&A】報酬・費用のお支払はいつすればいいですか?
相続財産を確定させ、各相続人に分配する前に、預貯金がある場合、通常は一度司法書士の預かり金口座を開設します。
預かり金口座には、解約した被相続人名義の預貯金をまとめ、その後に各相続人に分配しますが、分配前に預貯金の中から報酬・費用を差し引かせていただくようにしています。
預貯金を解約せずに名義変更する場合は、通常、名義変更後に報酬をお支払いただくことになりますが、報酬額が大きくなる場合には、業務の途中で一部の報酬金をお支払いただくこともあります。この場合は事前に依頼者に確認し、同意を得ることにしています。
預貯金がないか、少額の場合は、原則として業務終了後にお支払いただくことになります。