成年後見人候補者
成年後見開始の申立てについての注意事項です。
成年後見開始の申立書には「後見人候補者」を記載する欄があります。
申立書類一式は家庭裁判所に行けばもらうことができますが、ご自身(被後見人以外の申立人)で記入をされる場合、通常、被後見人(本人)は親族であることが多く(例えば親など)、申立人自身が後見人になり、財産を管理していくことを想定されていることも多いと思われます。
そのような場合、当然に「後見人候補者」欄に自分自身を記入することになりますが、「後見人」を選任するのは家庭裁判所ですから、必ずしもご自身が後見人に就任することができるとは限りません。特に、一定以上の財産があるような場合や、親族間で紛争性があるような場合は、第三者(例えば弁護士や司法書士)が選任されることもあります。
一般に、弁護士や司法書士が選任された場合は、報酬付与の申立てにより報酬が発生します。報酬は被後見人(本人)の財産の中から支払われますが、当初から第三者が選任されること自体想定されておらず、報酬が付与されることを良く思われない方もおられます。
しかし、成年後見開始の申立てをした場合、第三者が選任されそうになったとしても、途中で取り下げることは家庭裁判所の許可無くしてすることはできません(家事事件手続法121条)。後見制度は公益的な側面もあり、いずれにしても本人の財産は誰かが管理しなければならないからです。
以上のことを正確に把握され、成年後見制度を利用する必要があると思います。
ただし、これらのことを理由に成年後見開始の申立てを躊躇することは、制度上は好ましくないでしょう。